スクラップ・アンド・ビルド*羽田圭介

  • 2015/10/08(木) 17:05:51

スクラップ・アンド・ビルド
羽田 圭介
文藝春秋
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「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。


毎日を躰の痛みと死への渇望とともに暮らす――と孫の健斗は思っている――88歳の祖父と、休職中で自分の躰を鍛えるという名目でいじめ続ける以外ほとんどすることのない孫の健斗の、介護という名の攻防のようにも見える。祖父に彼の望むような苦しみのない死をもたらす手伝いをしようと真面目に考え行動する健斗と、「早う死にたか」と事あるごとにぼやきながらも、ふとした折に生への執着を垣間見せる祖父。いささかボケているように見える祖父ではあるが、実のところは健斗の目論見などお見通しで、手のひらでころがしているように見えなくもない。あるいは見たままそのままで、健斗の思い通りの経過をたどることになるのか。さまざまに読めて興味深い。なんとなく祖父に軍配が上がりそうな印象はあって、健斗の一途さと空回りが微笑ましくも思えてくることもある。ストレートなようでなかなか曲者な一冊かもしれない。

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