王とサーカス*米澤穂信

  • 2015/10/13(火) 18:59:47

王とサーカス
王とサーカス
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米澤 穂信
東京創元社
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2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに、太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?

『さよなら妖精』の出来事から10年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生をも左右するような大事件に遭遇する。2001年に実際に起きた王宮事件を取り込んで描いた壮大なフィクションにして、米澤ミステリの記念碑的傑作!


実際に起こった事件が軸にあるからか、臨場感にあふれており、完全なフィクションとは思えない印象もある。太刀洗万智の置かれた状況と、トーキョーロッジの主や投宿する人々とのやり取りにもある種の含みが感じられて、これから起こることへの興味を掻き立てられる。後半はミステリ要素が少し増え、万智の気づきと思案を我が事のように読み進む。日本が舞台ではあり得ないことごとが異国情緒とともに独特の雰囲気を醸し出し、現実離れした浮遊感のようなものも感じられる。心に響く言葉は善人だけに言えるものではないのだと改めて思わされた一冊でもある。

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