あの家に暮らす四人の女*三浦しをん

  • 2015/11/02(月) 16:57:47

あの家に暮らす四人の女
三浦 しをん
中央公論新社
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謎の老人の活躍としくじり。ストーカー男の闖入。いつしか重なりあう、生者と死者の声―古びた洋館に住む女四人の日常は、今日も豊かでかしましい。谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』。


細雪と雰囲気は全く違うが、鶴代と佐知が実の母娘である以外は、雪乃も多恵美も希薄なつながりの人々である。それぞれの事情で、杉並にある佐知親子の邸で一緒に暮らすようになるのだが、そのことで何かが劇的に変わるわけでもなく、鶴代と佐知の暮らしは、それまでとあまり変わらずに淡々と続いている。ただ、佐知が生まれてすぐ家を出たまま行方知れずの父のことを考えるきっかけになったり、雪乃や多恵美がもたらす外の世界のあれこれを、佐知なりに受け止めたりはするようになり、自分の行く末のことに思いを致したりもするのである。不思議な共同生活ながら、なんとなくお互いの気配を感じ、頼りあうこともありながら上手くいっているのが、読みながら次第に心地よくなっていく。途中、父の魂が活躍(?)する辺りに多少の違和感はあったが、読み終えてみれば、現代版細雪かもしれないと思えてくる一冊である。

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