羊と鋼の森*宮下奈都

  • 2015/11/07(土) 20:58:05

羊と鋼の森
羊と鋼の森
posted with amazlet at 15.11.07
宮下 奈都
文藝春秋
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ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。


とても優しい物語である。そして、青い炎のような静か情熱が伝わってくるようである。弟と比べて劣っているのではないかと、自分に自信を持てずにいた外村少年は、高校の体育館のピアノの調律をする板鳥と出会ったことで、進むべき道を見つけたのである。ピアノも弾けないし、それまでクラシックに興味もなかった外村だったが、板鳥に紹介された専門学校で努力し、調律師になる。先輩調律師たちがピアノに向かう姿勢や、思うようにできない外村の歯がゆさ、お客さんそれぞれの事情など、さまざまあるなかで、外村の独特の感性がどんどんピアノと彼とを近づけているように思えてきて、あたたかいものが胸にこみ上げてくるような心地になる。心が洗われるような一冊だった。

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