老後の資金がありません*垣谷美雨

  • 2015/11/13(金) 09:47:56

老後の資金がありません
垣谷 美雨
中央公論新社
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後藤篤子は悩んでいた。娘が派手婚を予定しており、なんと600万円もかかるというのだ。折も折、夫の父が亡くなり、葬式代と姑の生活費の負担が発生、さらには夫婦ともに職を失い、1200万円の老後資金はみるみる減ってゆく。家族の諸事情に振り回されつつもやりくりする篤子の奮闘は報われるのか?


娘の派手な結婚式、篤子自身の失業、夫のリストラに加え、豪華な老人施設に入居する義両親に多額の仕送り、その後の舅の葬儀。お金のかかることが次々と押し寄せてきて、後藤家の貯金は底をつきそうな勢いである。老後の資金どころの騒ぎではない。冒頭は、そんな憂鬱になるエピソードばかりで、身につまされつつ暗い気分になるが、篤子の意地と勢いで姑を引き取り、お嬢様育ちの姑に自分のことは自分でやるように啖呵を切ってから事態は少しずつ動き、危ういながらも明るい兆しが見えてくる。根本的な老後の資金不足が解決したわけではないのだが、心の持ちようと余計なプライドを捨てた後には、ほんとうにやらなければならないことが見えてくるようにも思え、ちょっとほっとする。思わず我が身に引き寄せて読んでしまった一冊である。

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この記事に対するコメント

引き取った義母の「したたかな」アルバイトに、ほほえましさとともにぞっとするおそろしさを感じました。柿谷作品、最近よく読むのですがこれもなかなかよかったですね。

  • 投稿者: チョロ
  • 2015/11/14(土) 14:08:59
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おっしゃる通り、ちょっとシュールでしたね。
現実だったら恐ろしいです。
でも、いいところで切り上げてくれてほっとしました。

垣谷さん、面白いですね。
追いかけてみたくなる作家さんです。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2015/11/14(土) 16:30:25
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