「いじめ」をめぐる物語

  • 2015/11/24(火) 13:46:16

「いじめ」をめぐる物語
荻原浩 小田雅久仁 越谷オサム 辻村深月 中島さなえ
朝日新聞出版 (2015-09-18)
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荻原浩「サークルゲーム」―中学二年生を担任する矢村琥代。彼女のクラスではいじめが起きているようなのだが…。小田雅久仁「明滅」―祖父の死をきつかけに地元に帰った私は、同級生と蛍を見に行ったあの日を思い出す。越谷オサム「20センチ先には」―クラスメイトからいじめられている僕の前に、現れた「悪魔」が見せる光景とは。辻村深月「早穂とゆかり」―小学校の同級生だった二人。早穂は、塾経営者として成功したゆかりを取材することになり…。中島さなえ「メントール」―由美子と志乃は歌劇団のトップ女優を目指す親友同士だったのだが、やがて…。学校で、職場で、ネット空間で…いじめと関わったことがない人、いますか?いま、この世の中に蔓延する空気を切り取った5つの短編小説。


さまざまな場所、さまざまな状況、さまざまな年代に起こるいじめの物語である。切り取り方は著者によって違うが、読んでいてやり切れなくなるのはどれも同じである。渦中にいるときには抗えない流れに巻き込まれ、大きな罪悪感もなく何気なく行動してしまうのだろうが、年を経るにしたがって澱のように胸の底に溜まった粘りつくような黒い思いは、強くなりこそすれなくなることはないのである。怖くて胸がつぶされる心地の一冊である。

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