ギブ・ミー・ア・チャンス*荻原浩

  • 2015/12/26(土) 18:39:10

ギブ・ミー・ア・チャンス
荻原 浩
文藝春秋
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元相撲取りの探偵、相方に逃げられた芸人…人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。


表題作のほか、「探偵には向かない職業」 「冬燕ひとり旅」 「夜明けはスクリーントーンの彼方」 「アテンションプリーズ・ミー」 「タケぴよインサイドストーリー」 「押し入れの国の王女様」 「リリーベル殺人事件」

どの物語も、挫折あり、悲哀ありで、虐げられ、存在を認められない鬱屈ありで、暗い話しではあるのだが、沈み込むばかりでなく、それを斜め上から見下ろして笑い飛ばしてしまう客観的な目線で描くことで、コミカルで前向きな印象にしているのは見事である。それにしてもいつも思うのだが、荻原さんって何者?と今回も随所で思わされた。常々荻原浩オバサン説を唱えているわたしだが(生のご本人にお会いしたことがあるので、もちろんおばさんではないことは承知の上であるが)、今作では、売れない演歌歌手だったり、元相撲取りだったり、なにより、旬は過ぎたとはいえ女子だったりして、その誰もの私生活の描写が細かすぎるのである。実際に体験したことがあるに違いないと思わされることばかりで、感心するのを通り越して、恐ろしくさえある。荻原浩、いったい何者?である。なにがあっても生きていけるとなんだか元気になれる一冊であり、文句なく面白い。

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