片桐大三郎とXYZの悲劇*倉知淳

  • 2016/01/25(月) 17:05:20

片桐大三郎とXYZの悲劇
倉知 淳
文藝春秋
売り上げランキング: 106,116

この一冊で、エラリー・クイーンの〝X・Y・Zの悲劇〟に挑戦!

歌舞伎俳優の家に生まれたものの、若くして映画俳優に転身、
世界的な人気を博す名監督の映画や、時代劇テレビシリーズなどに主演し、
日本に知らぬものはないほどの大スターとなった片桐大三郎。
しかし古希を過ぎたころ、突然その聴力を失ってしまった――。
役者業は引退したものの、体力、気力ともに未だ充実している大三郎は、
その特殊な才能と抜群の知名度を活かし、探偵趣味に邁進する。
あとに続くのは彼の「耳」を務める新卒芸能プロ社員・野々瀬乃枝(通称、のの子)。
スターオーラをまき散らしながら捜査する大三郎の後を追う!

「ドルリー・レーン四部作」を向こうに回した、本格ミステリー四部作をこの一冊で。
殺人、誘拐、盗難、そして……。最高に楽しくてボリューム満点のシリーズ連作。


 冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの殺意
 春の章 極めて陽気で呑気な凶器
 夏の章 途切れ途切れの誘拐
 秋の章 片桐大三郎最後の季節

時代劇界の大御所、片桐大三郎が探偵役の物語である。聴力を失って役者は引退しているとは言え、存在感は少しも衰えず、社内でも、厳然と威容を誇っている。のの子(野々瀬乃枝)は、彼の耳代わりとして雇われたので、どこへ行くにもついていくことになるのだが、この二人のやり取りもなかなか味があって面白い。片桐は、庶民のことを知らないので、空気を読めないことは時にあるが、決して押しつけがましいわけではなく、観察眼は鋭く、推理力も見事なのである。警察が頼りたくなるのもうなずける。最後の章では、まさかそんな!?とどきどきさせられるが、まんまとしてやられてしまった。嬉しい限りである。もっと続きが読みたくなる一冊である。

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