人魚の眠る家*東野圭吾

  • 2016/02/02(火) 13:09:08

人魚の眠る家
人魚の眠る家
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東野 圭吾
幻冬舎
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娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。


だれに寄り添って読むかで、受ける印象がものすごく変わる物語だと思う。脳死と臓器提供という重い命題と向き合うには、いささか特殊と言えなくもない状況ではあるが、一般的に言っても、両親(ことに母親)や身近な親族、つき合いのある周りの人たち、ニュースで見聞きするだけの人々、と当事者との関係性によって受け取り方も千差万別――同情的であったり、批判的であったり――であることは、想像に難くない。しかも今作では、脳死(と言い切ってしまうことはできないが)状態に押しひったのは幼い子どもであり、お金に物を言わせて親のエゴを押しつけている、と取られても致し方ない状況でもある。わたしも途中までは割とそちら寄りで読んでいたのだが、ラスト近くなって、そうとばかりも思えなくなってくるのだった。これが正解、という対応策は、おそらくこれから医療がどれだけ進歩したとしても、見つからないのだろう。ただ思うのは、周りが納得した上で穏やかに旅立たせてあげられることが、残された人たちの未来に向けてもいちばんなのではないかということである。常日頃、臓器提供の意思表示カードは携帯しているが、いざその場に自分が立ち会うことになったときに、どれだけ納得できるかは、その場に立ってみなければ判らない、というのが正直なところでもある。重すぎるテーマではあったが、ラストは爽やかささえ感じられ、この家族にはこの対応が必要だったのだと思えた一冊だった。

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