ママがやった*井上荒野

  • 2016/02/29(月) 07:45:17

ママがやった
ママがやった
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井上 荒野
文藝春秋
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小料理屋の女主人百々子七九歳と若い頃から女が切れない奇妙な魅力をもった七つ年下の夫。半世紀連れ添った男を何故妻は殺したのか。


なんともシュールな物語である。物語の初めから、拓人はすでに妻・百々子に殺されていて、子どもたちが集まっている。深刻な場面のはずなのだが、なぜか父を殺めた本人である母は、さほど普段と様子が変わらない。その後は、ここに至るまでの家族それぞれの人生が描かれていくのだが、それぞれにいささか歪んでいて、それもまたシュールである。にもかかわらず、そこはかとない可笑しみを嗅ぎ取ってしまうのは、穿ちすぎだろうか。手をかけた本人の切迫感のなさに由来するのだろうか。ラストはぞくっとさせられたが、ほっとするような気持ちにもなった。寂しくて哀しい一冊である。

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