バスを待って*石田千

  • 2016/03/06(日) 17:03:15

バスを待って
バスを待って
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石田 千
小学館
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町の景色と人情が心に沁みる石田千連作小説
<いちばんまえの席があいた。となりのおじいさんは、いそいで移動して椅子によじのぼった。男のひとは、いつまでもあの席が好きでおかしい。> 夫をなくしたばかりのお年寄り、自分の進路に迷う高校生、上司とそりが合わず落ち込むサラリーマン、合コンに馴染めないOL……、季節、場所、人は違えど、バスにゆられて「明日もがんばるか」と元気を回復する二十篇。
第一回古本小説大賞、2011年、12年芥川賞候補の石田千氏の最新小説。「お洒落なイタリアンより酒肴の旨い居酒屋が好き」「流行のファッションより古着やナチュラル系の服が好き」という女性を中心に人気を博している小説家・エッセイストの、人情に溢れ、ほろっときたり、ほほ笑んだりしながら読める物語。


路線バスにまつわる二十の物語である。いつものように、急に思い立って、誰かに会いに、誰かと別れて、浮き浮きと、涙をこらえて。さまざまな状況で、いろんな人が路線バスに乗る。同じバスに乗り合わせた人たちのそれぞれに人生があり、その人たちに関わる人たちの人生も絡まっている。そしてそんなバスを運転する人も、その周りの人もいる。そのすべてにそれぞれが主役の物語があるのだと、本作を読むとしみじみと思われてきて、丁寧に生きてみたい心地にさせられる。心なしかいつもよりも文体が柔らかく、著者らしさは失わないまま、愛おしさがより増すような印象でもある。自分が少しだけやさしくなったような気分になれる一冊である。

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