たそがれどきに見つけたもの*朝倉かすみ

  • 2016/03/15(火) 16:55:25

たそがれどきに見つけたもの
朝倉 かすみ
講談社
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もう若くない、まだ若い、そんな複雑な気持ちを抱えた、人生の折り返し地点にきた女と男が抱える様々な問題――家族、仕事、そして恋愛――を切り取る、短編集

「たそがれどきに見つけたもの」――SNSで高校時代の友だちに久しぶりに再会。彼女はまだ、そのときのことを引きずっているようで。
「その日、その夜」――きむ子は思った。(お尻、出したまま死ぬのはいやだなあ)と。
「末成り」――ちょっと話を盛りすぎちゃったかな……ゼンコ姐さん―内田善子は家に帰って、服を脱ぎ濃いめのメイクを落としながら考える。
「ホール・ニュー・ワールド」――コンビニのパート先でちょっと話すようになった朴くんに、淡い恋心を抱く智子。朴くんも、やぶさかではないんじゃないかと思っている。
「王子と温泉」――結婚して、子どもが生まれてから初めてのひとり旅。夫と娘に送り出されて行った先は、贔屓にしている”王子”との温泉ツアーだった。
「さようなら、妻」――1985年、6月。妻と初めてふたりきりで会った日。彼女はあじさい柄のワンピースを着ていた。


なさそうでいてありそうで、もしかすると身近なところにもあるかもしれないと、ふっと思わせてくれるような物語ばかりである。読む人の心のなかにも、程度の差こそあれ、似たような思いが秘められていそうなところが怖くもあるが、可笑しくもある。気づいていなかったものに気づかされて、笑ってしまいたいような気持になったりもする。誰もが、そこはかとない狂気をはらんでいるようにも見え、案外それが普通なのかもしれないと思い直したりもする。著者らしいテイストの一冊である。

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