ハーメルンの誘拐魔*中山七里

  • 2016/03/16(水) 19:00:18

ハーメルンの誘拐魔
ハーメルンの誘拐魔
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中山 七里
KADOKAWA/角川書店 (2016-01-29)
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病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には中世の伝承「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。数日後、今度は女子高生・亜美が下校途中に行方不明になり、彼女の携帯電話と共に「笛吹き男」の絵葉書が発見された。亜美の父親は子宮頚がんワクチン勧奨団体の会長だった。ワクチンに関わる被害者と加害者家族がそれぞれ行方不明に。犯人像とその狙いが掴めないなか、さらに第三の事件が発生。ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女5人が、マイクロバスごと消えてしまったのだ。その直後、捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、一人10億、合計70億円の身代金の要求だった…。


子宮頸がんワクチンの副作用に苦しむ少女たちやその家族にスポットを当てた物語である。被害者と加害者の埋めようもない意識の差。苦しむ被害者と頬かむりする加害者という構図が印象的である。ハーメルンの笛吹き男をキーにしたのは、誘拐される人数の多さのみによるものだったのだろうか。そこにもっと深い意味を読み取れなかったのがいささか残念ではあるが、誘拐の顛末は斬新で、驚かされ、その気持ちに胸が痛んだ。被害者と加害者の問題意識のあまりの違いに憤りも感じる一冊である。

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