しろいろの街の、その骨の体温の*村田沙耶香

  • 2016/03/30(水) 07:26:19

しろいろの街の、その骨の体温の
朝日新聞出版 (2013-03-11)
売り上げランキング: 29,325

クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹陽太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。


小学4年生という、ことに女子にとっては自分の躰のなかで起こる激動に心がついていかずにあたふたする年頃である。男子との精神年齢のギャップもいちばん目立つ頃ではないだろうか。そんな年頃の自意識過剰の結佳と、まだまだまったくのお子ちゃまの伊吹との歪んだ関わり、表皮だけでつきあう級友たち、クラス内カーストを必要以上に意識し、蔑まれながらもあらゆる人たちを見下すという複雑な精神構造。描かれることすべてに思い当たることがある人も少なくないことと思う。もちろん程度の差はあるが。それにしても伊吹がひとり――空気を読めないのか、一瞬にして全体の空気を読めすぎるのか――超越していてかっこよすぎる。舞台設定も見事だと思う一冊である。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する