九十九藤(つづらふじ)*西條奈加

  • 2016/04/14(木) 18:34:27

九十九藤
九十九藤
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西條 奈加
集英社
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江戸の人材派遣業、口入屋・冬屋(かずらや)の女主人となったお藤。「商いは人で決まる」が口癖の祖母に口入稼業を仕込まれ育ったが、実家の不幸が重なり天涯孤独の身に。義母から女衒に売られるも必死に逃げ、江戸で生きてきた。
お藤は、払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救うため、ある勝負に打って出る。取り扱う客を商家に絞り、男の奉公人志願者に徹底した家事指南を行い、大店へ送り込む。前代未聞の大転換は周囲の猛反発を呼んでしまう。
そんな折、お藤は女衒から逃げていた時に助けてくれたお武家によく似た男と出会う。男は黒羽の百蔵と呼ばれ、江戸中の武家奉公人の上に立つ恐ろしい人物だった。
冬屋の挑戦がようやく成果をあげはじめた頃、その好調ぶりを忌々しく思う人宿組合の顔役たちは百蔵を相談役に据え、冬屋潰しを目論む。お藤たちは真っ向勝負を挑むが――。
人は何のために働くのか、仕事の喜びとは何かを問い直す渾身の長編時代小説。


持ち前の粘りとアイディアで、男社会の口入屋で新しい商いを始め、評判をとったお藤の奮闘ぶりと恋心の物語である。昨今テレビドラマも女性が活躍するものが人気を博しているが、その小説版といったところであろうか。お藤の生い立ちから逃げだしてきた顛末、そして増子屋主人の太左衛門に拾われて江戸に出てきてからの苦労と充実ぶりに、胸がすく心地である。黒羽の百蔵との関わり方もいい。ラストにふっと時が飛んだ場面が描かれているのがまたまたいいのである。溜飲が下がる思いの一冊である。

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