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シチュエーションパズルの攻防*竹内真

  • 2016/05/06(金) 19:02:32


大学入学を機に、叔母がママを務める銀座の文壇バーでアルバイトをすることになった了。その店は、人気ミステリー作家・辻堂珊瑚朗先生ご贔屓の店だった。普段は店のホステスにちょっかいを出しながら、バーボンと葉巻を楽しむサンゴ先生だが、ひとたび不思議な謎に出合うと、鮮やかな推理をさりげなく披露する。ミステリー作家は本当に名探偵なのか?文壇バーで毎夜繰り広げられる推理ゲームと、サンゴ先生の名推理。気鋭の作家が初めて挑戦する、安楽椅子探偵ミステリー連作集。


ミステリ作家の辻堂珊瑚朗、通称サンゴ先生が、安楽椅子探偵よろしく日常の謎を解き明かす物語である。サンゴ先生のおかげで、すっかり文壇バーと化している叔母の店「ミューズ」でアルバイトすることになった了が目撃し、話を聴いた出来事を語る趣向である。ただ、謎そのものは興味深いのだが、サンゴ先生のキャラクタがありがちな印象なのが、いささか残念な気がしてしまう。もう少しバーにいるときとのギャップを見せてくれると、深みを感じられて好ましく思えるかもしれない、と勝手に思ったりもするのである。対して、叔母のミーコさんは、なにやら含むところが多そうで、魅力的である。気軽に愉しめる一冊とは言えそうである。

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