オーダーメイド殺人クラブ*辻村深月

  • 2016/05/13(金) 21:17:38

オーダーメイド殺人クラブ
辻村 深月
集英社
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クラスで上位の「リア充」女子グループに属する中学二年生の小林アン。死や猟奇的なものに惹かれる心を隠し、些細なことで激変する友達との関係に悩んでいる。家や教室に苛立ちと絶望を感じるアンは、冴えない「昆虫系」だが自分と似た美意識を感じる同級生の男子・徳川に、自分自身の殺害を依頼する。二人が「作る」事件の結末は―。少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説。


まったく親しいわけではないが、奥底に似通った感性を感じたクラスメイトの昆虫系男子・徳川に自分を殺すことを依頼したアン。中二という、自分の存在がまだ確立されておらず、些細なことで揺らぐ年頃特有の面倒臭いことこの上なく、しかもひどく狭い人間関係に翻弄されつつ日々を過ごす様子が、息苦しいほどリアルである。そんな中で、アンにとって、自分が殺されるXデーが、生きる希望になっているのも矛盾してはいるが、解る気がしなくもない。徳川と計画を練っていくうちに、彼のことをまったく知らないことに気づいたり、Xデー以後の彼の周りのことに想いを馳せることもできるようになったりするが、それは少しずつ成長している証しでもあるように思われる。そして二人の関わり方も微妙に変わってくる。大人になって振り返れば、小さなコップの中の嵐のようなものであるのだが、あまりに激しく束の間の嵐ではあった。途中、やや中だるみ感はあった印象はあるが、展開から目が離せない一冊だった。

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