彼女に関する十二章*中島京子

  • 2016/06/05(日) 18:36:47

彼女に関する十二章
彼女に関する十二章
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中島 京子
中央公論新社
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「50歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり」

息子は巣立ち、夫と二人の暮らしに戻った主婦の聖子が、ふとしたことで読み始めた60年前の「女性論」。一見古めかしい昭和の文士の随筆と、聖子の日々の出来事は不思議と響き合って……

どうしたって違う、これまでとこれから――
更年期世代の感慨と、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説


「どうやらあがったようだわ」で始まる物語である。更年期を迎えた女性の――大げさに言えば――世界の見え方の描写が新鮮である。さまざまな縛りから解き放たれ、来し方のあれこれに想いを致し、来たるべきあれこれに想いを馳せる。不安になったりうろたえたり、このままでいいのかと自問してみたりと、結構忙しいのである。そんな事々のさなかにありながら、案外冷静に突き放して見ている主人公である50歳の聖子が、なかなか味があって好ましい。女性の更年期は、ちょうど家族の過渡期に同調するようにやってくることが多く、聖子の場合も、息子の自立と重なることになる。晴れがましいような、心もとないような、寂しいような複雑さのなかで、自らの軌跡を振り返るきっかけになったりもする。読み進むにつれて、どんどん惹きこまれるようになる一冊でもある。

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