神楽坂謎ばなし*愛川晶

  • 2016/06/14(火) 19:45:43

神楽坂謎ばなし (文春文庫)
愛川 晶
文藝春秋 (2015-01-05)
売り上げランキング: 183,157

武上希美子は中堅老舗出版社の編集者、三十一歳。元気な祖母と二人暮し。手堅く教科書を出版している社が三代目の独断で人気落語家の本を出すことに。妊娠や病気で同僚が戦線離脱していくなか、この本を担当した希美子は制作の最終段階で大失敗。彼氏の浮気も判明し、どん底の彼女に思いがけぬ転機が…。


妊娠や病気入院で人手不足のため、てんてこ舞いの編集部で、希美子はなれない落語関係の本の校正でとんだ失敗をしてしまい、そのせいで寄席の席亭の代理を務めることになってしまう。幼いころのおぼろげな記憶、両親の離婚の理由、僅かばかりの記憶で想像する父親の姿。いくつかの偶然が重なって、祖母に訊けなかったあれこれが解き明かされてくる。希美子の生い立ちだのことだけでなく、寄席、神楽坂倶楽部で希美子が初めて体験する落語界のしきたりや、落語の演目の内容のこと、そして人間同士の関わり合いのことなど、ちょっとした謎が、自称下足番の義蔵さんによって丁寧に解きほぐされ、希美子を納得させるのである。二十年近くも探していた猫のマコちゃんに会えたのも、偶然なのだろうか。まったく興味のなかった落語に、少しずつ親しみを持ってきた希美子のこれからが愉しみな一冊である。続編もぜひ読みたい。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する