翔ぶ少女*原田マハ

  • 2016/06/15(水) 18:49:06

翔ぶ少女 (一般書)
翔ぶ少女 (一般書)
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原田マハ
ポプラ社
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「生きて、生きて、生きぬくんや!」1995年、神戸市長田区。震災で両親を失った小学一年生の丹華(ニケ)は、兄の逸騎(イッキ)、妹の燦空(サンク)とともに、医師のゼロ先生こと佐元良是朗に助けられた。復興へと歩む町で、少しずつ絆を育んでいく四人を待ち受けていたのは、思いがけない出来事だった―。


震災で両親を一度に亡くしたニケたち三兄妹は、近所に住む心療内科の医師で、同じく震災で妻を亡くした佐元良(さもとら)先生(ゼロ先生)に助け出され、佐元良家の養子になる(ニケは、サモトラケのニケになったのである)。復興住宅の人たちや、おっちゃん(ゼロ先生)や由衣ねえに支えられながら、成長していく姿を見守りながら、ときおり胸が熱くなる。震災で怪我して自由にならない右足のせいで、ニケは同級生たちとは距離を置くようになり、勉強はできるが物静かな少女になっていく。兄妹が互いを思いやって助け合う姿にも胸がじんとする。思春期を迎えたニケに起こったことは、一見突拍子もないことに見えるが、物語を象徴する出来事でもある。誰かをまごころで想うことの尊さは、自分の身を削っても相手をしあわせにしたいと願うことなのかもしれない。震災という理不尽な哀しみは二度と起きてほしくはないが、ニケたちには、乗り越えてさらにしあわせになってほしいと願うばかりである。あたたかさと力強さを感じた一冊である。

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