ままならないから私とあなた*朝井リョウ

  • 2016/06/18(土) 07:35:47

ままならないから私とあなた
朝井 リョウ
文藝春秋
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先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。
しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。
不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、
結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。 「レンタル世界」

成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。
無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。
幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、
そして決定的に対立する瞬間が訪れる。 「ままならないから私とあなた」


レンタル派遣業、ずいぶん前から小説の題材としてはあって、そのときどきで興味深く読みはしたが、現実問題になってくると、怖すぎて言葉を失う。ほんとうのことって何だろう、人間関係ってなんだろう、と疑心暗鬼に駆られてしまいそうになる。
表題作は、まったく人間というものは、なんとままならないものだろうというのが、率直な感想である。雪子と薫、アナログとデジタルの象徴であるかのようなふたりだが、お互いの考え方がまるで違うことに(主に雪子が)疑問を抱きながらも、遠ざからず遠ざけずに一緒にいるということ自体、0か1かで割り切れない何事かがあるからだろう。人間ってやつは、自分で自分のことすらわからないのであり、ままならないのが普通のことなのかもしれない。雪子と薫の補完し合う関係性が愛おしくもある。自分は雪子寄りだと思って読み進んだが、薫の言葉にも頷けるところがあって、そんなところも、0か1かではないのだと思わされる一冊だった。

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