少女奇譚 あたしたちは無敵*朝倉かすみ

  • 2016/06/26(日) 06:52:51

少女奇譚 あたしたちは無敵
朝倉 かすみ
KADOKAWA/角川書店 (2016-06-02)
売り上げランキング: 248,330

このことは、あたしたちだけの秘密よ
朝倉かすみが挑む 少女×ふしぎの物語

小学校の帰り道、きらきら光る乳歯のようなものを拾った東城リリア。同級生の清香と沙羅も、似たような欠片を拾ったという。ふしぎな光を放つこれはきっと、あたしたちに特殊な能力を授けてくれるものなのだ。敵と闘って世界を救うヒロイン。あたしたちは、選ばれた――。でも、魔法少女だって、死ぬのはいやだ。(「あたしたちは無敵」)
少女たちの日常にふと覘く「ふしぎ」な落とし穴。表題作のほか、雑誌『Mei(冥)』、WEBダ・ヴィンチに掲載されたものに書き下ろしを加えた全5編を収録。
◆収録作品「留守番」「カワラケ」「あたしたちは無敵」「おもいで」「へっちゃらイーナちゃん」


どれも朝倉さんらしさが存分に出ている物語である。表題作の女子たちの心の動きは、おそらく女の子だったことのある人ならだれでもわかるのではないだろうか。どこまでが現実で、どこからが妄想なのか、判然としないところが一興なのかもしれない。あの無敵感、結構解る。そしてほかの作品も、思春期の女子の微妙で複雑でアンバランスな心と躰、そして周りの大人――ことに身近な男性である父親――との関わり方の変化の描き方が、極端な部分も多々あるが、絶妙だと思う。父と娘、互いの取り扱いに困って過剰反応を起こす時期がたしかにあるのではないだろうか。最後の物語は、いささか違うかもしれないが……。自己愛にあふれつつ自虐的な朝倉流の少女の物語を堪能できる一冊である。

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