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死仮面*折原一

  • 2016/07/18(月) 18:41:56

死仮面
死仮面
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折原 一
文藝春秋
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「君と一緒にいて幸せだったよ」と言い遺して急死した十津根麻里夫。彼が勤めていたはずの高校に「妻」の雅代が連絡すると、「そのような名前の教師はおりません」と言われる。「夫」は名前も身元も偽っていたのだ。正体は何者なのか?それを解く手がかりは、大学ノートに残された小説のみ。失踪した中学生の少年を救うために、同級生四人組が、マリオネットの仮面の男に立ち向かう物語だった―。


現実と思われる出来事と、小説のなかと思われる出来事が交互に描かれているのだが、読み進める内に、どちらが現実でどちらが虚構なのか――あるいはどちらも現実なのか――わからなくなる。時系列に並べられているわけではなく、別なのだが、同じような出来事が繰り返し語られていて、くらくらと目眩がするようである。謎がひとつずつ明らかになり、現実と虚構の流れが一本につながりかけると、さらに驚愕の事実が曝され、愕然とさせられる。読中も読後も、気が重くなるばかりで、ラストにすべてが明らかになってさえ、救いはない。因果で重苦しい一冊である。

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