どこかでベートーヴェン*中山七里

  • 2016/08/11(木) 09:10:40

どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ)
中山 七里
宝島社
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ニュースでかつての級友・岬洋介の名を聞いた鷹村亮は、高校時代に起きた殺人事件のことを思い出す。岐阜県立加茂北高校音楽科の面々は、九月に行われる発表会に向け、夏休みも校内での練習に励んでいた。しかし、豪雨によって土砂崩れが発生し、一同は校内に閉じ込められてしまう。そんななか、校舎を抜け出したクラスの問題児・岩倉が何者かに殺害された。警察に疑いをかけられた岬は、素人探偵さながら、自らの嫌疑を晴らすため独自に調査を開始する。


岬洋介シリーズ最新刊であるが、岬洋介始まりの物語とも言える、高校時代の物語である。岬の唯一の友人と言ってもいい鷹村亮が、ふと見たニュース映像から高校時代を思い出すという趣向である。ここが始まりではあるが、やはり大人になってからの岬洋介を知っておいた方がより納得しながら愉しめると思う。岬自身のキャラクタは、ほぼ変わっていないのもちょっぴり微笑ましく、そのままでいてほしいと思ってしまう。ピアノに関わっている以外の岬の性格には、説明されても理解しがたい部分も多くあるが、解らないところも含めて彼の魅力になっているのだろう。岬洋介にとって、この時期が人生最大の試練の時だったことがよくわかって痛ましくもあるが、その後につながっていくのだと思えば納得するしかない。ラストのちょっとした種明かしにも思わず頬が緩む。岬洋介のことをもっともっと知りたくなる一冊でもある。

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