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一番線に謎が到着します*二宮敦人

  • 2016/08/30(火) 18:30:11


郊外を走る蛍川鉄道の藤乃沢駅。若き鉄道員・夏目壮太の日常は、重大な忘れ物や幽霊の噂などで目まぐるしい。半人前だが冷静沈着な壮太は、個性的な同僚たちと次々にトラブルを解決。そんなある日、大雪で車両が孤立。老人や病人も乗せた車内は冷蔵庫のように冷えていく。駅員たちは、雪の中に飛び出すが――。必ず涙する、感動の鉄道員ミステリ。


蛍川鉄道・藤乃沢駅の駅員、夏目壮太の毎日きちんと電車を走らせお客さまを送り届けるという地味な日々に時々ある事件というかトラブルに、駅員一丸となって向かう物語である。そして合間に、「幕間」として、なぜか、就職活動に悩む俊平という大学生の物語が挟み込まれている。壮太たち駅員は、日常業務の合間に、原稿をなくした編集者からの申し出で、必死になって原稿を探したり、駅に出るという幽霊の謎を解き明かしたり、大雪で立ち往生した列車の乗客を救出したりと大忙しである。何かが起きると、壮太は聞き込みをして情報を集め、それをつなぎ合わせて解決へと導くのだが、淡々としながらも熱い心を持っているのが見て取れて魅力的である。そして最後に、幕間の意味もわかり、さらに胸を熱くさせられる。何事も、こつこつとひとつずつ積み上げていくことが大切だと改めて思わされる一冊である。

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