県庁の星*桂望実

  • 2016/09/21(水) 16:59:58

県庁の星
県庁の星
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桂 望実
小学館
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前代未聞! 抱腹絶倒の娯楽公務員小説。
野村聡。31歳。Y県職員一種試験に合格。入庁9年目。Y県県庁産業局産業振興課主任。Y県初の民間人事交流研修対象者6名の一人に選ばれた期待のホープだ。一年間の研修を無事にこなして戻れば、念願の係長への階段を同期に先んじて確実に登ることができる。ところが、鼻高々で望んだ辞令交付式で命じられた赴任先は…スーパー? しかも…H町の? えらくマイナーな感じがした。だがそのイヤな予感は現実のものとなる。 もらった予算は使いきるもの! 人を  “使役”してこその“役人”だ!——大勘違い野郎の「県庁さん」がド田舎のスーパーで浮きまくり。生まれて初めてバカと呼ばれた県庁さん、はたしてこのまま「民間」でやっていけるのか?


将来有望な県庁職員・野村聡は、頭はよく、見かけもよく、将来も安定しているが、人間的にはいささか魅力に欠ける31歳である。合コンでもほとんどうまくいくことがないのは、その辺りを見抜かれているからかもしれない。そんな野村が一年間田舎のぱっとしないスーパーで研修を受けることになるところから物語は始まる。上司も同僚も、そしてスーパーの仕事まで上から目線で見下す野村は、初めのうちは誰からも煙たがられることになる。だが、見下されてもめげないパートのおばちゃん・二宮の突き放すような指導とも言えないあれこれや、押しつけられるように任される仕事を、不満たらたらでこなすうちに、次第にやりがいも出てきて熱くなってくる。野村の力というよりも、二宮をはじめとする店のスタッフたちの潜在的な向上心が、二宮に仕向けられて、いい方向にめざめさせられたような印象でもある。野村=県庁さんの成長物語というのが本筋なのだろうが、実は、二宮の成長物語でもあって、息子の学との関わり方の変化も興味深い。研修を終えて県庁に戻った県庁さんであるが、人間的にも成長して、もはや無敵なのではないだろうか。愉しく読める一冊だった。

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