クララ殺し*小林泰三

  • 2016/10/04(火) 18:24:47

クララ殺し (創元クライム・クラブ)
小林 泰三
東京創元社
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大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。


『アリス殺し』の姉妹編。前作と同じく、というよりも前作以上に、要素が複雑に絡み合っており、しかもあちらの世界とこちらの世界も複雑に入り組んでいて、謎解きにかかる辺りからはことに、頭の中がグルグルしてくる。誰が誰のアーヴァタールで、誰と誰が通じているのか、さらには誰が改造されて元とは違う存在になっているのかが複雑で、解きほぐせなくなってくる。しかも、罪と罰の観念もあちらとこちらでは違うので、なにを持って解決とするのかも不確かで、いささか消化不良気味でもあり、哲学的と言ってもいいかもしれない。次々に暴かれる本体とアーヴァタールの相関関係が判ってくると、どんどん先を知りたくなる一冊でもある。

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