BAR(バール)追分*伊吹有喜

  • 2016/10/05(水) 18:20:15

BAR追分 (ハルキ文庫)
BAR追分 (ハルキ文庫)
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伊吹 有喜
角川春樹事務所
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新宿三丁目交差点近く―かつて新宿追分と呼ばれた街の「ねこみち横丁」の奥に、その店はある。そこは、道が左右に分かれる、まさに追分だ。BAR追分。昼は「バール追分」でコーヒーやカレーなどの定食を、夜は「バー追分」で本格的なカクテルや、ハンバーグサンドなど魅惑的なおつまみを供する。人生の分岐点で、人々が立ち止まる場所。昼は笑顔かかわいらしい女店主が、夜は白髪のバーテンダーがもてなす新店、二つの名前と顔でいよいよオープン!


場所柄と言い、隠れ家的な感じと言い、なんだか勝手にもっとアウトサイダーっぽい物語を想像していたのだが、さにあらず。夜はバー、昼間はその場を借りてバールとしての営業、ということで、常連客からは「ヤドカリ食堂」と呼ばれる「BAR(バール)追分」を核として、そこに集まる常連客たちと、ひょんなことからねこみち横丁振興会の管理人になってしまった宇藤輝良の物語である。バールのオーナーシェフ・桃子の作る、丁寧で味わい深い料理の数々は、どれも魅力的で、それに引き寄せられるように集まってくる客たちの屈託を、あたたかく解きほぐしてくれるようである。読んでいて心地好いのは、それぞれの距離感が絶妙で、突き放しすぎず、踏み込み過ぎず、これ以上ないほど良い加減だからかもしれない。思わず、ねこみち横丁を探しに行きたくなってしまいそうな一冊である。

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