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アンマーとぼくら*有川浩

  • 2016/10/16(日) 16:55:29

アンマーとぼくら
アンマーとぼくら
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有川 浩
講談社
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休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。


北海道で、大恋愛の末に結ばれた父と母の元に生まれたリョウの身に起きた物語である。母は病を得て若くして亡くなり、写真家で子どものような父は、その事実を受け止められないまま撮影旅行に出かけた先の沖縄で晴子さんという観光ガイドの女性と出会って恋に落ち、量とともに沖縄に移住したのち結婚する。こう聞くと、ロクでもない父親のようではあるが、子どものような父の胸の裡にも、抱えきれない屈託があるのだった。そんな父も大嵐の日に波に呑まれて亡くなり、リョウは晴子さんの元を離れて独立する。このたび、晴子さんの希望で三日間だけ彼女につきあって沖縄をめぐることになるのだが、初めからどこかに少しずつずれがあり、読みながら?マークが頭にちらつくのである。それがすべてわかるのは最後の最後で、真実はどこにあるのかははっきり判らないのだが、ご先祖様を敬い、その魂と近しいところで日々を過ごす沖縄だからこそのことなのかもしれない。じんわりと胸の中にあたたかいものが流れる一冊である。

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