よっつ屋根の下*大崎梢

  • 2016/10/25(火) 16:27:31

よっつ屋根の下
よっつ屋根の下
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大崎 梢
光文社
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勤め先の大病院の不祥事隠蔽を批判し、犬吠の地方病院に飛ばされた父。製薬会社に関係の深い実家を気にして、父についていこうとしない母。都会暮らしが好きなのに、父をひとりにできなくて、ついていったぼく。お母さんを責めないで!と言いながら、密かに自分を責めていた妹。たとえ自分は離れても、いつまでもそこにあってほしい、ぼくたちの「家」。それは、わがままだろうか。家族でいるのが大変な時代の、親子四人の物語。


もしも父が病院に楯突いて左遷されなかったとしたら、平山家は絵に描いたようなセレブな暮らしを続け、子どもたちも何も深く考えることなくぬくぬくと育っていったのだろう。それはそれで、それぞれ温厚な大人になってしあわせだったかもしれないとは思う。でもそうはならなかった。父とぼくは海風吹きすさぶ銚子へ引っ越し、母と妹は白金のマンションに残り、それぞれの思いを胸に抱えたまま離れて暮らすことになったのだった。離れてみなければ判らなかった家族のこと。調子に来なければ知ることもなかったあれこれ。そんなすべてが心と躰を育み、思い描きもしなかった未来へと繋がっていくのである。それぞれの場所で培った人間関係も宝物のようである。このままバラバラになってしまうかと思われた平山家だが、よっつ屋根の下でそれぞれ生きていくとしても、戻る場所はひとつだと思えたことで、さらに絆が深まったように思う。人を思いやる気持ちの大切さがじんわり伝わる一冊である。

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