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ヒワマン日和*吉永南央

  • 2016/11/07(月) 07:19:14

ヒワマン日和
ヒワマン日和
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吉永 南央
光文社
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「事件」の裏にある別の顔が、ヒワマンによって暴かれる。

離婚、出世、殺人……。人生の綻びに戸惑い、苦悩する人々が、ふとしたきっかけで出会った黒ずくめの女性・日和満。自らをヒワマンと呼ぶ彼女と、時を重ねて行く中、新たな希望を見いだす人々の様を描く、新次元のミステリ!


「殺人日和」 「転職日和」 「痴漢日和」 「離婚日和」 「逃走日和」

ヒワマンこと日和満(ひわみちる)は黒ずくめで細長く切れ長の目をしている。事件が起きる臭いをかぎ分ける能力があるかのように、何かが起こりそうな現場にさりげなく現れ、するっと当事者のそばに忍び寄って未然に防ぎ、しかもいかにも自然に事の本質を解き明かしてしまう。そしていつの間にか、ヒワマンにまつわる人たちを遠く近く繋げてしまう不思議な存在でもある。大胆なのか繊細なのか、無神経なのか思いやりに満ちているのか、暗いのか明るいのかよくわからないところもまた魅力なのかもしれない。ともかく一度会ったら着いていきたくなってしまいそうなのである。大きなキャリーバッグひとつであちこちへ赴き、しばらく棲みついてはまたどこへともなく去っていくヒワマンである。寂しくはないのかなあと思ってしまうのも、ヒワマンにとっては迷惑なのかもしれない。次はどこへ行って何を解き明かすのか、もっともっと見てみたい一冊である。

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