上野池之端 鱗や繁盛記*西條奈加

  • 2016/11/20(日) 17:09:28

上野池之端 鱗や繁盛記 (新潮文庫)
西條 奈加
新潮社 (2016-09-28)
売り上げランキング: 7,546

騙されて江戸に来た13歳の少女・お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの三流店だった。無気力な周囲をよそに、客を喜ばせたい一心で働くお末。名店と呼ばれた昔を取り戻すため、志を同じくする若旦那と奮闘が始まる。粋なもてなしが通人の噂になる頃、店の秘事が明るみに。混乱の中、八年に一度だけ咲く桜が、すべての想いを受け止め花開く――。美味絶佳の人情時代小説。


出会い茶屋のような店だった鱗やに、不忠義をした従姉妹のお軽の代わりとして奉公することになった13歳のお末が主人公である。一年前に主の娘お鶴の元に婿入りした若旦那・八十八朗が、お客においしい料理を出す店として立て直そうとするのを助け、店の行く末を親身に考えながら奉公するお末の成長する姿が微笑ましい。しかしそれとは別に、若旦那には別の顔があるように思われ、時として身がすくむ心持ちにさせられることもあるのだった。鱗やの抱える問題と、若旦那の思惑、使用人たちの身の振り方、主一家の抱える闇。さまざまな要素が絡まり合って、鱗やの行く末を不安にさせる。時が一気に進んだラストは、ほっとさせられたとともに、鱗やの明るい未来を見届けたくもなる一冊である。

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