罪の声*塩田武士

  • 2016/12/02(金) 19:19:47

罪の声
罪の声
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塩田 武士
講談社
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逃げ続けることが、人生だった。

家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。

「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。

未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。
圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読!
本年度最高の長編小説。

昭和最大の未解決事件―「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは――。
気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。


グリコ森永事件を題材にした409ページの大作である。青酸ソーダ入りのお菓子が店頭に置かれたということで、当時子どもが生まれたばかりだったわたしも我が身のこととして恐ろしさを感じた事件だったので、興味深く読んだ。大々的に報道された割には、実際犯人は何が目的だったのかよくわからず、尻すぼみに終わった印象があったが、本書を読むと、妙に納得できてしまう。記者が、大きな事件の取材に際して、犯人はどんなにもっともらしい大義名分を持っているのかと思って臨むと、どうしようもない理由で事件を起こしていることが多々あり、がっくりする、というようなことを言っているが、このギンガ萬堂事件の犯人たちも、まさにそうで、それがリアルさをより増している。読後は、あの事件の真相はまさにこうだったのだろうと思えてしまうほどである。テープの声の子どもにスポットを当てたのも見事だと思う。読み応えのある一冊だった。

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