四〇一二号室*真梨幸子

  • 2016/12/31(土) 16:25:56

四〇一二号室
四〇一二号室
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真梨 幸子
幻冬舎
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タワーマンションの最上階、四〇一二号室に暮らす人気作家、三芳珠美は、人生の絶頂にいながら満たされずにいた。ある日、古本屋の老婆に「あなたに」と古い写真を見せられるが、そこには見知らぬ赤ん坊の姿が写っていて…。一方、根岸桜子は同時期にデビューした珠美の成功を安マンションで妬ましく思う日々。そして、1999年11月22日、大停電の日。珠美がマンションから転落。その日から女たちの運命が逆転した―のは悲劇の始まりに過ぎなかった。“人間は、あっという間に地獄の底に転落するのよ”四〇一二号室からはじまる“不幸”の連鎖。著者が仕掛けた夥しい数の罠。『殺人鬼フジコの衝動』の著者、最恐イヤミス。


心理的瑕疵物件である、所沢のタワーマンションの最上階・4012号室を鍵とした厭な厭な物語である。女たちの妬み合いも、それを裏で利用する男の狡さ汚さも「厭」の要素のひとつである。そして、頻々と移り変わる語り手や、夢と現実の境目が曖昧すぎる展開が、物語の筋をますます混沌の中へと引き込んでいくので、幾度となく自分が立っている地平が揺らぐような、めまいにも似た心地にさせられるのである。夢と現の間だけでなく、時の流れをも行きつ戻りつしながらたどり着いた真実は、切ないというかやり切れないというか、人間の浅ましさを見せつけられたようない厭な後味を残すものである。まんまと騙された一冊である。

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