雨利終活写真館*芦沢央

  • 2017/01/22(日) 19:23:36

雨利終活写真館
雨利終活写真館
posted with amazlet at 17.01.22
芦沢 央
小学館
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巣鴨の路地裏にひっそり佇む、遺影専門の写真館。祖母の奇妙な遺言が波紋を呼ぶ(「一つ目の遺言状」)。母の死を巡る、息子と父親の葛藤(「十二年目の家族写真」)。雨利写真館に残る1枚の妊婦写真の謎(「三つ目の遺品」)。末期癌を患う男性の訳ありの撮影(「二枚目の遺影」)。見事な謎解きで紡ぎ出すミステリー珠玉の4編。


遺影専門の写真館が舞台である。高齢化社会故でもあるのだろう、昨今、「終活」という言葉を目にする機会が、以前と比べて随分と増えてきている。そんな折にタイムリーな設定である。雨利終活写真館のスタッフは、終活コーディネーターの永坂夢子(金儲け主義)、アシスタントの道頓堀(似非大阪弁のお調子者)、カメラマンの雨利(不愛想で態度が悪い)、そして一話目の主人公で、後に雨利写真館のスタッフになる元有名美容室のヘアメイク・黒子ハナ、と癖がありすぎる面々である。依頼される案件も、ひと口に遺影と言っても事情はさまざまで、事前のカウンセリングで聞き出した客の要望に添うように考えて撮影される。そして、それぞれの事情にただならむものを感じ取り、ついつい首を突っ込んで真相を解き明かそうとしてしまうのがハナの悪い癖である。道頓堀がナイスアシストし、雨利がぼそりとつぶやくひと言が、意外なヒントになったりして、すっかり謎解き集団になっている。今作は、登場人物の紹介っぽくもあるし、シリーズ化されたら嬉しいと思う一冊である。

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