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ブラフマンの埋葬*小川洋子

  • 2005/02/03(木) 12:53:31

☆☆☆☆・


夏のはじめの日に僕の元にやってきたブラフマンとすごしたひとつの季節の物語。

僕 とは、≪創作者の家≫という 自由に創作活動をするために 創作者たちに開放された場所の管理人である。
そしてブラフマンは小さな愛すべき動物なのだが、何の動物なのかは特定されていない。というよりも、私たちが知っている何の動物でもなく、どの動物でもあるのかもしれない。ともかく、そのことを追求することは大切なことではないのだ。

ブラフマンと僕とがすごした夏のはじめから夏のおわりまでの日々は、とてもぎっしりと詰っていて、隅から隅まで具がたっぷり入っているような充実感で溢れていた。
だがそれは、唐突に終わりを迎える。

小さなブラフマンを入れるための石棺は、必要充分で何ひとつ余計なものはないのだった。
涙が出るほど哀しいのだが、なんと満ち足りていることだろう。自分のからだと大切なほんの少しのものがちょどよく収まる石棺。そして、大切な人たちの心の中に、そっとぬくもりを残すのだ。ブラフマンはいなくなったわけではない。


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本を読んだら・・・byゆうき

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■ ブラフマンの埋葬 小川洋子

ブラフマンの埋葬小川 洋子講談社 2004-04-13私には、怪我をした動物の面倒を、とても上手にみる友人がいます。治って野生に帰るものもいれば、彼女の家にずっと飼われているものもおり、亡くなる場合ももちろんあります。獣医さんにかかるために高いお金を出して、餌にす

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  • 2006/06/23(金) 19:06:53

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