七月に流れる花*恩田陸

  • 2017/02/22(水) 16:30:45

七月に流れる花 (ミステリーランド)
恩田 陸 酒井 駒子
講談社
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坂道と石段と石垣が多い静かな街、夏流(かなし)に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城――夏流城(かなしろ)での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とともに、濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。城には三つの不思議なルールがあった。鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。水路に花が流れたら色と数を報告すること。少女はなぜ城に招かれたのか。長く奇妙な「夏」が始まる。


ミチルが六月という半端な時期に転校してきた理由。転校して間もないのに六人という少ない人数の林間学校に招待された理由。なんとなく思わせぶりな参加者の少女たちの様子。そのすべてが明らかになったとき、深い悲しみと慈しみ、そして命の終わりということを前にした無力さが押し寄せてくる。謎めいた設定と、なにが起こるかワクワクドキドキする雰囲気が、とても著者らしい一冊である。

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