時が見下ろす町*長岡弘樹

  • 2017/03/25(土) 18:23:19

時が見下ろす町
時が見下ろす町
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長岡弘樹
祥伝社
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町のシンボル、大きな時計が目印の時世堂(じせいどう)百貨店の隣に立つ一軒の家。その家で、和江は抗癌剤治療に苦しむ四十年連れ添った夫を介護している。ある日、夫の勧めで、気分転換に写生教室に出かけることになり、孫娘のさつきに留守番を頼むことに。その日だけのつもりだったのだが、なぜかさつきはそのまま居座ってしまい……。和江の家が建つ前は時世堂の物置き、その前は製鞄工場、さらにその前は中古タイヤの倉庫……。様々に変わりゆく風景の中で、唯一変わらなかった百貨店。その前で、繰り広げられてきた時に哀しく、時に愛しい事件とは?


第一章 白い修道士  第二章 暗い融合  第三章 歪んだ走姿(フォーム)  第四章 苦い確率  第五章 撫子の予言  第六章 翳った指先  第七章 刃の行方  第八章 交点の香り

一見ミステリとは思えないストーリー展開なのだが、いつの間にかするりとミステリの世界に滑り込んでいる印象である。時世堂百貨店がある町で起こる出来事を集めた短編集なのだが、狭い町のあちこちでこんなことが起こっていることを想像すると、それだけでかなり怖い。それは、殺人事件などの大きなものばかりではなく、時に人の心の中に仕舞いこまれた思いまで抉り出すことにもなるのだが、逆にそれを食い止めようとする愛にあふれた行動につながることもある。怖くもあり、胸がじんわりあたたかくもなる一冊である。

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