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でーれーガールズ*原田マハ

  • 2017/05/14(日) 07:07:02

でーれーガールズ
でーれーガールズ
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原田マハ
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漫画家の小日向アユコ(本名・佐々岡鮎子)は30年ぶりに高校時代を過ごした岡山県にやってきた。母校の女子高で講演会をするためだ。 講演会前々日、この機会にと高校の同級生たちが同窓会を開いてくれた。そこでアユコは30年ぶりに親友の武美と再会する。武美は母校の教師になっていた。アユコを招いたのも武美だという。実は30年前、アユコと武美には忘れられない思い出があった。 1980年、岡山――。東京から引っ越してきたばかりの佐々岡鮎子はクラスに友達がいない。心の支えは、かっこよくてギターもうまい大学生の彼、ヒデホくんだった。ところが、二人を主人公に描いた恋愛マンガを、クラスの秋本武美に見られてしまう。美人で勝気な武美に、鮎子はいつもからかわれていたのだ。しかし、武美は物語の続きを読みたがって……。かけがえのない友だちに会いたくなる、感動の物語。


主人公は、漫画家として活躍する鮎子。母校の講演会に招かれて岡山に帰った現在と、そこで過ごした高校時代を行きつ戻りつしながら物語は進む。東京からの転校生として、岡山の白鷺女子高校に入学した鮎子は、なかなか方言に馴染めず、クラスメイトから浮いていた。そんなときに友だちになった武美が救いとなり、次第に溶け込むことができたのだった。だが、その武美との間に、わだかまりを残したまま別れることになってしまい、ずっと胸にしこりとなって残っていたのである。後援会に呼ばれて再会した武美は、母校のこくぎょ教師になっていて、何のわだかまりもなく温かく迎えてくれ、当時のことを懐かしく思い出せるようになっていた鮎子だったが、最後の章で、なぜ今こんなことに、という出来事が起こってしまう。これからいままでの分を取り戻せると思わせておいて、何もこんなことにならなくても、とやり切れない気分になるが、前に進むしかないのが人生なのかもしれない。まばゆい光に満ち、ちょっぴりほろ苦い青春の一冊である。

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