fc2ブログ

密やかな結晶*小川洋子

  • 2005/02/10(木) 13:05:32

☆☆☆☆・
密やかな結晶

舞台はとある島。
そこではある日突然、さまざまなものが消滅する。
なんの脈絡もなく消滅したそれらを
人びとは悲しむことも嘆くこともなく受け入れ捨ててゆく。
物そのものだけでなく、その物の記憶までも捨ててしまうのだ。
そして、何も失うことのない人たちは、秘密警察による記憶狩りによって、見つけ出されてどこかわからないところへと連れ去られ、戻っては来ない。

とても哀しく恐ろしいことが起こっているにもかかわらず、島の人びとは静かで受動的である。そんなになにもかも受け入れなくてもいいのに、とつい思ってしまうほど。

そして、本のこちら側で、坂道を転げ落ちるように消滅がどんどん進むのをみていると、とるにたりないいろいろなものたちのひとつひとつが 圧倒的に大切さを増してくるように感じられてくる。

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事に対するコメント

こんばんはぁ。。

昨日からこの本を読み始めました。
ちょっと怖いお話ですね。
ほんとうに、どうしてあんなに受けいれるのでしょう。
みんな怖がっているのにね。。
お話の舞台が外国のような、日本のいつかのような。
不思議なでも、いい文章だなぁ・・・と。^^

  • 投稿者: おはぎ。
  • 2006/08/19(土) 22:33:18
  • [編集]

小川洋子さん、不思議な世界ですね。
止められない何かが芯から恐ろしいです。

  • 投稿者: ふらっと
  • 2006/08/20(日) 08:25:23
  • [編集]

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する