嫁をやめる日*垣谷美雨

  • 2017/06/19(月) 18:22:34

嫁をやめる日
嫁をやめる日
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垣谷 美雨
中央公論新社
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ある晩、夫が市内のホテルで急死した。「出張に行く」という言葉は、嘘だった―。ショックを受けながらも、夫の隠された顔を調べはじめた夏葉子。いっぽう、義父母や親戚、近所の住人から寄せられた同情は、やがて“監視”へと変わってゆき…。追い詰められた夏葉子を、一枚の書類が救う!義父母、嫁家からの「卒業」を描く、「嫁」の役割に疲れたあなたに!人生大逆転ストーリー。


夫の急死をきっかけに、ぎくしゃくしていて遠いと感じていた夫の存在が、ある意味大きくなり、それまで意識したこともなかった「嫁」という立場もくっきりと浮き彫りになってくる。夫がいる間は、他所にないくらいうまくいっていると思っていた、舅・姑との関係も、夫がいなくなってみると、鬱陶しい以外の何物でもなくなる。上品でいい人だと思っていた旧家の奥さまである義母の行動のあれこれが鼻につき、知人の多さが、閉ざされた地方都市では監視の目が多いことにつながる。生前の夫の行いにも不信感が募り、悶々としているときに、がさつで品がないと思っていた実家の父が大いなる力になってくれたりと、ほんとうに頼るべき人が誰なのかを思い知らされたりもするのである。だが、一度はまりこんだ負のスパイラルの渦中では見えなくなっていたことが、ほんの少し距離を置いて冷静に眺めると別の様相が見えてきたりすることもある。結婚とは、個人と個人のものとは言え、その背後にいる家族と関わらずにいられるわけではない。「嫁」という存在についても改めて考えさせられもした。人と人の関係というのは誠に一筋縄ではいかないものであると思い知らされる一冊でもある。

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