箸もてば*石田千

  • 2017/07/01(土) 13:10:56

箸もてば
箸もてば
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石田 千
新講社 (2017-05-24)
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箸もてば、いつかの夕方、いつかの乾杯。ひとくちめのビールが、喉もとすぎる。会えなくなったひとにも会える。(「あとがき」より)
作家・石田 千による、つくる、飲む、食べる日々をつづったエッセイ。
年々歳々、食相い似たり、年々歳々、人同じからず。
時のうつろい、四季のうつりかわりととも自然の恵みとどう出合い、どう調理し、食べ、そして飲んだか。
飲食は命を養い、心を支える。食べものへの思い、そして杯を手にすれば、思いおこすあの人たちの声、姿、気配。
生まれたばかりのような繊細なことばで語られる、飲食をめぐる珠玉の掌篇集。


またまた素敵な読書タイムをありがとう、である。どんなときに何をどうやって食べるか、それはその人を如実に表すことだと思う。著者は、自らの躰の声にきちんと耳を傾け、弱ったときには弱ったなりに、元気なときには元気ななりに。そして、季節の声もちゃんと聞いて、旬のものに丁寧に手をかけて食している。それは必ずしも凝った料理というわけではなく、その部分は外の食事に任せ、却って素朴で素材を生かした食べ方で、思う存分幸せを感じながら食べていることがうかがわれて好もしい。実際に食べているわけではないのに、読んでいるだけで、滋味あふれる湯気に包まれ、太陽の恵みたっぷりの素材の滋養が、躰の芯に沁みこんでいく心地になる。至福の一冊である。

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