錆びた太陽*恩田陸

  • 2017/08/04(金) 18:41:02

錆びた太陽
錆びた太陽
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恩田 陸
朝日新聞出版
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「最後の事故」で、人間が立ち入れなくなった立入制限区域のパトロールを担当するロボット「ウルトラ・エイト」たちの居住区に、国税庁から派遣されたという謎の女・財護徳子がやってきた。三日間の予定で、制限区域の実態調査を行うという。だが、彼らには、人間の訪問が事前に知らされていなかった!戸惑いながらも、人間である徳子の司令に従うことにするのだが…。彼女の目的は一体何なのか?直木賞受賞後長編第一作。


当然、原発事故にまず思いがいく。立入制限区域にいるのは、一度死んで甦った「マルピー」と呼ばれる存在、巨大な青い九尾の猫、巨大化して帯電した、「青玉」と呼ばれるタンブルウィードなどがいて、見回りをするだけでも一苦労なのである。そんな場所に若い女が派遣されてくることなど、本来考えられることではないのだが、国税庁からやって来たのは、財護徳子という20代後半の女性だった。ウルトラ・エイトたちのキャンプには、人間はいないのだが、ただ一人の人間・財護徳子は、超のつく自然体で、ロボットたちとも何の垣根もなく接している。ロボットたちにも新鮮な体験であり、心のないはずの彼らと徳子との間に心の通い合いがあるように見えるのが印象的である。財護徳子の本当の目的は何なのか、立入制限区域で何が起こっているのか、昔起こった一家殺人事件の真相は……。、近未来の冒険物語のようでもあり、人とロボットとの交流の物語でもあり、政府の隠ぺい体質の恐ろしさを暴く物語でもあり、さまざまな要素が絡み合って、面白さを増している。読み始め手間もなくは、もっと苦手な分野かと思ったが、予想に反して愉しめる一冊だった。

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