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マイ・ディア・ポリスマン*小路幸也

  • 2017/10/05(木) 18:51:13

マイ・ディア・ポリスマン
小路幸也
祥伝社
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交番に赴任してきたお巡りさんは元捜査一課の刑事。
幼なじみの副住職は、説法はうまいけど見た目はヤクザ。
彼らの前に現れたマンガ家志望の女子高生は伝説の○○の孫!?

財布が消えた? 現れた? この町で、一体何が起こっている?
奈々川市坂見町は東京にほど近い古い町並みが残る町。元捜査一課の刑事だった宇田巡は、
わけあって〈東楽観寺前交番〉勤務を命じられて戻ってきたばかり。寺の副住職で、幼なじみの
大村行成と話していると、セーラー服姿のかわいい女子高生・楢島あおいがおずおずと近づい
てきた。マンガ家志望の彼女は警官を主人公にした作品を描くために、巡の写真を撮らせてほ
しいという。快くOKした巡だったが、彼女が去ったあと、交番前のベンチにさっきまでなかった
はずの財布が。誰も近づいていないのに誰が、なぜ、どうやって? 疑問に包まれたまま財布の
持ち主を捜し始めた巡は、やがて意外な事実を知ることに……。


さまざまな、超能力とは言えなくても、凡人にはない能力を持つ人が集まっているこの町が、そもそもちょっと不思議な町である。だが、この町には、なんとなくほのぼのとした空気が流れているような気もする。ただ、そこで起こる出来事もまたちょっぴり謎めいていて、不思議な雰囲気を醸し出している。それぞれが、立場や世代の違いを超えて、互いを思いやっているのが伝わってきて心地いいのだが、人助けのためとはいえ、掏摸の技が正当化されているのがいささか気になるところではある。そして、些細なことかもしれないが、恋する乙女には酷なひと言にはっとさせられもした。シリーズ化されて、後々の伏線にでもなるのだろうか。いまのところ言われた本人が気にする様子もないので、単に副住職の失言なのかもしれないが、個人的には、この人にだけは言われたくないなあと思わされるひと言ではある。昔の友情も再確認でき、家族の和が戻り、過去のつながりも明らかになり、万事うまく解決したのは、思いやりの気持ち故だろう。次の展開が愉しみな一冊でもある。

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