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浮世奉行と三悪人*田中啓文

  • 2017/11/28(火) 16:34:24

浮世奉行と三悪人 (集英社文庫)
田中 啓文
集英社 (2017-05-19)
売り上げランキング: 172,407

武士を捨てて竹光作りを生業とする雀丸。ある日、三人の武士にボッコボコにされている老人を救い出す。庶民の揉めごとを裁く横町奉行だというこの老人は、あろうことか雀丸に跡を継いでくれと言い出した。危険な目に遭っても「三すくみ」という助っ人が馳せ参じるから大丈夫とも。ところが現れたのは悪徳商人に女ヤクザ、破戒僧という面々で―江戸期の大坂を舞台に描く、抱腹絶倒の時代小説。


江戸を舞台にした新しいシリーズのはじまりである。なんだかぼんやりしていて頼りなげな竹光職人の雀丸が、横町奉行の甲右衛門に見込まれて、後を継いでほしいと懇願される。まだ年若く、経験も貫禄もない雀丸は、何度も断るが、厄介事が持ち込まれるたびに、何やかんや言って雀丸に裁きを任せ、のっぴきならない状況に追い詰めていくのである。当の雀丸も、押しつけられた裁きをなんとかこなしてしまうものだから、どんどん逃げられなくなっていく。登場人物の個性と、持ち込まれる厄介事をどう解決するかという興味で、あとをひく一冊である。

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