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小説の神様*相沢沙呼

  • 2018/10/08(月) 16:33:56

小説の神様 (講談社タイガ)
相沢 沙呼
講談社
売り上げランキング: 121,729

いつか誰かが泣かないですむように、今は君のために物語を綴ろう。

僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。
物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!



中学生でデビューした作家が同じクラスに二人もいるというのは、奇跡としか思えない設定ではあるが、もしそんなことがあったとしたら、普通に考えて、意気投合するか反発しあうか、完全に無視するかのどれかだろう。だが、彼らの場合はそのどれでもなく、二人でひとつの物語を紡ぐことになる。本作は、さまざまな要因を含みつつ、それをひとつずつ呑み込んで消化し、それでも消化しきれないものは少しでもかみ砕いて、二人でやっていこうとしっかりと思えるまでの物語である。自分と自分の編み出した物語を愛せるようにならないままでは、どうしたって二人でやっていくことはできなかったのである。自分たちの立ち位置を見極めたここからが、彼らの始まりなのだと思わされる一冊でもある。

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