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対岸の家事*朱野帰子

  • 2018/10/20(土) 18:47:04

対岸の家事
対岸の家事
posted with amazlet at 18.10.20
朱野 帰子
講談社
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家族のために「家事をすること」を仕事に選んだ、専業主婦の詩穂。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったのか迷う彼女のまわりには、性別や立場が違っても、同じく現実に苦しむ人たちがいた。二児を抱え、自分に熱があっても休めない多忙なワーキングマザー。医者の夫との間に子どもができず、姑や患者にプレッシャーをかけられる主婦。外資系企業で働く妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てるエリート公務員。誰にも頼れず、いつしか限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める――。

手を抜いたっていい。休んだっていい。でも、誰もが考えなければいけないこと。
終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編!


こんなに真っ向から家事というものに焦点を当てた小説があっただろうか。専業主婦であれ、働く女性であれ、働く男性であれ、ひとり親であれ、独身者であれ、家事とは、生きていくうえで必ずやらなければならない仕事である。本作では、さまざまな立場や状況で、それぞれに家事に向き合い、愉しんだり、悩んだり、苦しんだりしながらも、それを投げ出せずにいる。そして、自分だけがこんなに大変なのだと、他者を攻めてイライラをぶつけ、悪循環に陥るのである。名前のない仕事とも言われる、日々の暮らしの中のほんとうに細かいあれこれから、人はどうしたって逃れることはできないのである。なので、家事というもののとらえ方を狭めてしまうと、人生の多くの時間を無駄にすることになるような気がする。それぞれが追い詰められている苦しさを、少しだけ体感できたような気持ちでもある。時にはほっぽり出すことも大切なのかもしれないと思わされる一冊でもあった。

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