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むかし僕が死んだ家*東野圭吾

  • 2005/03/13(日) 13:59:23

☆☆☆・・


 「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」
 恋人が失った記憶を取り戻すために、
 “幻の家”を訪れた僕たちを恐るべき事実が待っていた。

 「本当にこんな幽霊屋敷みたいなところに何かあるのかしら。
 あったとしても、それを見つけられるかしら(中略)」
 「一筋縄でいかないことは覚悟の上だよ」私は彼女の頭を指差して続けた。
 「何しろ二十年ぶりに、そこの鍵をこじあけようというんだからね」
 すると沙也加は自分の頭に手をやり、「錆びついてなければいいんだけれど」
 と力なく笑った。
 私は何気なくピアノを見た。一瞬人形と目が合い、どきりとした。(本文より)

                        (帯より)


小学校入学前の記憶が抜け落ちるようにばっさりと失われている元恋人の頼みで、失われた記憶を取り戻す旅に出る。
現在の彼女の悩みと失われた記憶とが哀しく重なり合う様が痛々しい。
知らないままのほうがいいと他人には思えることでも、知らないままでいることは自分が自分でないような心もとなさに苛まれることなのだろう。そうと解っていてもなお、哀しすぎる謎解きである。

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