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噛みあわない会話と、ある過去について*辻村深月

  • 2018/10/31(水) 16:28:54

噛みあわない会話と、ある過去について
辻村 深月
講談社
売り上げランキング: 76,843

怒りは消えない。それでいい。あのころ言葉にできなかった悔しさを、辻村深月は知っている。共感度100%!切れ味鋭い傑作短編集。


「ナベちゃんの嫁」 「パッとしない子」 「ママ・はは」 「早穂とゆかり」

アンソロジーで既読のものもあったが、こういうテイスト、好きである。だが、実際我が身に降りかかったとしたら、背筋が凍りそうである。恐ろしい。さまざまな恐ろしさがあるが、ことに、無自覚、無意識に何気なくしたこと、言ったことに、後になってしっぺ返しされる恐ろしさは、心臓を鷲づかみにされるような衝撃である。その瞬間まで、能天気で生きてきたこと自体が恨めしくなりそうである。さらに恐ろしいのは、生きていれば大なり小なり誰にでも起こりうる事態でもあるからだ。自らの行動や言動には、細心の注意を払わねば、と改めて思わされる一冊でもある。

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