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熱帯*森見登美彦

  • 2019/01/11(金) 21:28:54

熱帯
熱帯
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森見 登美彦
文藝春秋
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汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」……。


なんと頭がぐるぐるする物語であろうか。佐山尚一著の『熱帯』という一冊の本を巡る物語であることは確かなのだが、この本の実態が全くと言っていいほどつかめない。しかも、『千一夜物語』という果てない夢の中にまで迷い込み、これらの二冊が互いに入れ子のようになっているようでもある。現実世界にいたかと思うと、あっという間に物語世界に取り込まれ、自分がいまどこにいて何を見ているのかを度々見失いそうになる。物語は結末を迎えるが、『熱帯』という謎は解かれることがあるのだろうか。何もかも終わったようでいて、その実、ここが始まりなのかもしれないとさえ思わされる。壮大なようでもあり、極めて狭いようでもある不思議な一冊である。

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